熟女
自分は熟女好きではない。
でも片鱗はあると昔から思っていた。
先日、電車の向かい側にとても綺麗な熟女が座っていた。芸能人に例えるならば、真矢みきさん似の、おそらく40代くらいの素敵な女性だった。
別に真矢みきが好きなわけでも無いし、某CMの『諦めないで!』を聞くたびに、どの立場で言ってんだよって馬鹿にしているタチだけど、その女性はとても魅力的に見えた。
服装も年齢を感じさせないファッションセンスでライダースを着こなしていた。(カッコイイ!)
しかしスマホのいじり方は、オバさん特有の
人差し指を動かしていく『オバタッチ』だった。
でもそのギャップも良いのである。
もう一度言うが、別に熟女は好きじゃない。片鱗があるだけ。
あと、予想だが名前は『美代子』か『美奈子』だと思う。
このくらいの年代の女性は大体、『美』と『子』を多用されている事は、リサーチ済みだ。
そんな妄想を掻き立てていると、
『美代子』か『美奈子』はライダースをなびかせながら、颯爽と電車を降りていった。
その後、『美代子』か『美奈子』の席には
『和夫』か『文夫』と思われるサラリーマン
が座った。
『和夫』か『文夫』は、おもむろにカバンの中から文庫本を取り出して読み始めたが、すぐに閉じて眠りについた。
諦めないで!
エスパー
この前、ロケが一緒だった女の子のADが
デカイ黒のボストンバッグを持って来た。
思わず『それどうしたの?エスパー伊東でも入ってるの?』とひねりのないボケを添えて、尋ねると
屈託のない目で彼女は、『エスパー伊東って誰ですか?』と答えた。
その時、ハッと気づいた。
23歳の自分が知っていて、一個下の彼女が、エスパーを知らないのなら
エスパー伊東を知っている年代のボトムラインが、23歳なのだと…。
日本一身にならない知識を蓄えると、
彼女に、エスパー伊東の経歴を話し、知らなかった事を優しく諭した。
すると彼女はまたしても屈託のない目をしながら、ポケットからiPhone10を取り出し、徐ろにGoogle先生を駆使して、エスパー伊東を調べ始めた。
少しだけ、6sだった自分の肩身は狭かった。
チラッと見えたスマホの画面から『エスパー伊藤』という字が見えた。
『藤』じゃなくて『東』だよ、と
これまた優しく諭した。
『へぇ〜こんな人いるんですね!知らなかったです。』と驚いた様子だった。
そんな彼女に、エスパーの十八番『高速シリーズ』と『激辛シリーズ』を見るように
宿題を課した。
『わかりました!家帰ったら見てみます!』
爛々とした目で訴える彼女を見てると、
過酷なADの業務を終えて、エスパーを見る羽目になった事が少し申し訳なく思った。
家に帰った後、少し気になったので
久しぶりに自分でも、エスパーの動画を見てみた。
改めて見る代物ではないと強く感じた。
申し訳なさが先行した事もあり
帰りに、ハッピーターンが好きと言うので、
ハッピーターンを奢った。
『エスパーを見る羽目になった、彼女にハッピーが帰ってきますように』と、願いを込めて。
p.s 結局、黒いボストンバッグの中身は確認できず。もはやどうでもいいんだけどね。。
美容院
先日、美容院に行った。
市川家に代々受け継がれる『天パの血』をしっかりと継承してしまったがために、年に一回、縮毛矯正をしている。
毎年同じ美容院に行っているのだが、いつも困るのが待ち時間の雑誌問題。
この23年間ファッション雑誌というものに、全く縁のなかった自分にとって
待ち時間に渡されるファッション誌は苦痛の極みなのだ。
今年のトレンドも、モデルのマイブームも一切興味が湧かない。
モデルの親族になりきってみても、全く効果が無かった。(この事を巷では親族プレイという)
待ち時間は古びた床屋みたいに
美容室マンガ界のクリーンナップを渡してくれるだけでいいのだ。
ただ、いつも忙しなく美容師さんが動いているので、何年経ってもこの問題を指摘できない。
指摘できるかもしれないが、そんな図々しいメンタルを持ち合わせていない。
そしてまた一年後、この問題に頭を悩ますのである。
小学生
この前、仕事で下妻市の小学校に取材に行った。
取材をする男の子のクラスに入ると、その日の授業が始まっていて、国語の授業が行われていた。
教科書を音読するという昔懐かしの授業内容で、何ともおセンチな気持ちになった。
思えば小学生の時、公然の前でベルベットモンキーをベルベットモンチーと噛んでしまって以来、国語の音読はどこかトラウマを感じる授業になっていた。
そんな思い出に浸っていると、校長先生のご厚意で給食を頂けることになった。
心のリトル市川が大きくガッツポーズをしたが、表情は冷静さを保った。
10年以上ぶりに食べる給食はとても美味しかった。
栄養を考えられたバランスの良いメニューだった。
思えば社会に出てからというと、うどんとおにぎり、時々ラーメンという不摂生極まり無い食生活をしていた自分にとって、最高のメニューだった。
給食を腹一杯頂いた後、小学生のお楽しみタイム、昼休みが開幕した。
今の小学生は幾分おしゃれだった。女の子は高そうなワンピースを着ている子もいたし、男の子もジーンズを履きこなすダンディな子もいた。
そして自分の小学生時代にもいた『ノースリーブデブ』も、平成が終わりに近づいているというのにまだ現存していた。
『猪突猛進』という妙にメッセージ性の強いTシャツを着たスポーツ系男子も健在だった。
変わってる事、変わらない事が混在する小学校で貴重な経験をし、ほっこりとした気分で帰宅。
ローカルにも程がある古びた電車で、2時間の帰路へと向かっていくのでした。
p.s 子供と上手く絡めない系男子の自分に、唯一声をかけてくれた一人の少年が、一言。
『お兄さん、結構かっこいいね。』
少年よ、見る目があるじゃない。
リトル市川がまた一つ、ガッツポーズをした。
私は吉沢になりたい
先週の金曜日の話。
身震いが止まらなくなるような企画書ラッシュに襲われていたので、気分転換にカフェでも行こうと、近くの喫茶店へ。
選んだお店は、完璧だった。
ちょっと古風な雰囲気で、店員さんの対応も良くて、Wi-Fiも飛んでて、超サイコー!
なんて思ってた矢先、事件は起きた。
隣で上司と部下らしき人たちが会議を始めた。
最初はなんの変哲も無い普通の会議だったのが、だんだんとヒートアップ。
朝まで生討論のような雰囲気に。。
朝まで生討論ならば、ほど良き所で田原総一郎さんがストップを入れるが、彼らの熱は治らない。
まさにコーヒー屋で、終わりのない水掛け論がスタートしたのだ。
隣で生討論がスタートしちゃうと、こっちは全く集中できない。散漫する事、山の如しである。
必死に心を落ち着かせた。きっと重要な会議なのだろうと。
しかし止まらない事、山の如し。(天丼)
とうとう自主的に手を止め、聞く耳を立てていると、
事件の真相が明らかに。
部下の方がひどいおバカちゃんだったらしく、会話が毎回止まってしまうようなのだ。
『疲弊ってどういう意味ですか』とか
『属人化って何ですか』とか
『一貫性って何ですか』とか
それはもう上司の方が、気の毒な程の語彙力の無さで、会議は止まりまくり。
結局、業を煮やした上司が会議を打ち止め、アズスーンアズで、東京の街へと消えていくのでした…。
リフレッシュを兼ねた喫茶店のはずが、部下のおバカ加減に、終始イライラしてしまう展開に。
結局企画書もほとんど手付かずで終了。
準備不足の企画書は、見事に打ち砕かれたのでした…。
少しブルーになった帰り道、広告に写っていた吉沢亮を見てまたブルー。
『こんだけ顔が良かったら、顔でお金稼げるんだろうな〜』
『こんだけ顔が良かったら、企画書ダメ出しされても、ホストでも俳優でもやって稼げるんだろうな〜』
なんて、ボヤボヤと頭で呟いた後、コーラを一気にがぶ飲みした。
嗚呼、私は吉沢になりたい。
傘
ゲリラ豪雨に警戒です!みたいな日はいつも頭を悩ませる。傘を持っていくべきかどうかを。
朝の天気予報を見ながら、なんかこの気象予報士うさんくさいな〜ハゲてるし。とかお天気お姉さんのメイクの薄さどうなの?とか
心のドス黒い人格が頭の中で文句を言いながらも、いつもパチンコ屋で借りパクしたありえないくらい小さい傘を、手首にかけて出掛けるのがいつものスタイルである。
しかしこの小さな傘を持っていくと、必ずと言っていい程、雨は降らない。
傘は降らないと分かった瞬間、一気に煩わしい荷物に変わる。だからこの傘を割と毛嫌いしている。だって降らないんだもの。
本来は折りたたみ傘を常備しとけば、こんな煩わしい思いをしなくて済むのだが、折りたたみ傘には少し苦い思い出がある。
それは風と雨が強い日。大学生の頃。
その日、傘を持っていなかった私は、近くの無印良品で折りたたみ傘を購入した。
初めての折りたたみ傘。雨なのにその時だけはウキウキしてたまらなかった。人生においての初めてはいくつになっても興奮する。そんなブヒブヒと鼻息荒く歩き始めた数分後に、強風がシャーッ。無残な姿で壊れてしまった。
まるで戦死した仲間を看取るかのように、無残な折りたたみ傘をボーッと見ていたあの日を鮮明に覚えている。
その日以来、折りたたみ傘はひ弱くて儚いものだと自分の中でインプットされてしまったのだ。
それならば、ちょっと付き合ってみる?みたいな軽い感覚で付き合えるビニール傘の方が、身も心も楽なのだ。別れてもまた新たなビニール傘と付き合えばいいや的な。(軽い男だな…)
でも少し大人になった今は、
また折りたたみ傘を使って見たい。
折りたたみ傘の方がスマートだし。かっこいいし。(そこ?)
でもパチンコ屋の傘の防雨率は100%だからな〜。
今日は天気も気分もゲリラで変わるのね。
爪切り
我が家の爪切り事情は大きな変化が起きている。
まず15年くらい使っていた爪切りが、見事に壊れてしまった。
悲しい散り際だった。爪が硬いタイプだった自分の爪を、15年も切ってきた相棒が、最後は足の小指を切ると同時に、真っ二つに割れてしまった。
小指で割れるか⁉︎という疑念は多少あったが、そもそも爪切りの寿命ってどのくらいなのだろう?
犬くらい?馬くらい?人くらい?もしかしてセミくらい?
調べてみるとどうやら1〜2年で新しいものに交換するのがベストらしい。
そう考えると15年も切ってくれていた相棒の生命力は凄かったんだな。感謝をしていると次は、自分の住む街のゴミ袋が変わった。
昔は茶色いゴミ袋だったので、爪を切るための下敷きとしてすごく利便性があった。
広げられるし、茶色いから爪も見えやすい。
しかし新しいゴミ袋は、透明タイプ。
爪も見づらくて、落ち着かない。
次期下敷き候補がいないかと家中を探し回るが、なかなか見つからない。諦めかけてたその時、大学の卒業アルバムが見つかった。
これがいい。表紙が青だから見やすくて丁度良い。
でもそれと同時に少し疑問を持った。
爪を切るために利用される卒アルって。。
思い出を下敷きにしていいのか。
でも今は卒アルがしっくり来る。もうこれしかないというくらいに。
人間って白状な生き物だな。。
あ〜深爪〜。